第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

防災・水文部門[Forest Disaster Prevention and Hydrology]

日付 2024年3月10日
開始時刻 ポスター発表
会場名 532
講演番号 PJ-31
発表題目 ベトナムにおける治山施設の潜在的ニーズと普及に向けた課題
Potential needs and challenges for the adoption of forest conservation facilities in Vietnam
所属 森林総合研究所
要旨本文  日本の治山事業は、森林の維持造成を通じて山地災害から人命や財産を保護し、水源かん養や生活環境の保全を図るものである。コンクリート構造物に過度に依存せず、比較的低コストであるため、開発途上国でも高い適用性を持つと考えられる。本研究では、途上国の治山技術普及のニーズと課題を明らかにするため、ベトナム北西部イェンバイ省の中山間地域で、豪雨による山地災害の実態と治山施設のニーズに関する調査を実施した。 山腹斜面には無林地や劣化森林で豪雨時に多くの斜面崩壊が発生していたが、そうした山腹斜面に施工物はほとんど確認できなかった。このため、材料調達が容易で技術的水準が低い丸太筋工などの治山技術は、森林回復に有効と考えられた。一方で、土地利用制度は防災・減災面を配慮する仕組みが不十分で、古くから持続性に配慮しながら山地斜面を農業利用してきた山間民族の生活が、現代の経済発展や社会変化の影響を受けて徐々に変容している姿が垣間見られた。このため、ベトナムでの治山技術の適用には、自然環境と社会情勢の両面からのアプローチが必要であり、現地の生活環境や文化に配慮した治山技術の普及が求められることが明らかとなった。
著者氏名 ○岡本隆1 ・ 古市剛久1 ・ 大澤光1 ・ 渡壁卓磨2 ・ 村上亘1 ・ 鈴木秀典3 ・ 山口智3 ・ 宗岡寛子3
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所森林防災研究領域 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林業工学研究領域
キーワード 防災, 減災, 開発途上国
Key word Disaster prevention, Disaster mitigation, Developing countries