第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
防災・水文部門[Forest Disaster Prevention and Hydrology]
日付 | 2024年3月10日 |
---|---|
開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 543 |
講演番号 | PJ-45 |
発表題目 | 北方冷温帯林において植生が出水時のリン流出に及ぼす影響について Effects of vegetation on phosphorus runoff from a small forest catchment in the cool-temperate region with landslide |
所属 | 公立千歳科学技術大学 |
要旨本文 | 森林源流域の植生と土壌は流出を制御し表面侵食を抑えると考えられるが、冷温帯林において多量の土砂流出を伴う出水時に、植生がリン(P)のような栄養塩の流出に対してどのような影響を及ぼすかはわかっていない。このことを解明するため、北海道胆振東部の多数の崩壊地を擁する森林源流域において、非かく乱の流域(UF)と崩壊面積率52%の流域(LB)を対象に表層土壌のP含有量と河川水の全リン(TP)濃度および負荷量を分析し、比較した。土壌のP含有量はUFのほうがLBよりも有意に高かったが、平水時の河川のTP濃度に両流域間で差はなかった。一方、日雨量が49 mmの出水時ではLBのほうがUFよりも河川流出量において3倍、また、TP負荷量において10倍程度高かった。LBにおいては懸濁態のP(PP)が出水時のTP負荷量の90%以上を占めていたのに対し、UFにおいては溶存態のPが出水時のTP負荷量の80%以上を占めていた。以上から、森林流域では表層土壌の移動性がP輸送に強く影響すると考えられた。本研究の結果は、冷温帯林においては植生が流出を制御することでPP負荷量を抑えるだけでなく、河川水のPの形態にも影響することを示唆する。 |
著者氏名 | ○井手淳一郎1 ・ 内藤陸斗1 ・ 荒田洋平2 ・ 廣川令真1 ・ 遠藤いず貴1,3 ・ 五味高志4 |
著者所属 | 1公立千歳科学技術大学理工学部 ・ 2道総研林業試験場 ・ 3兵庫県立大学環境人間学部 ・ 4名古屋大学大学院生命農学研究科 |
キーワード | 表面侵食, 懸濁態リン, 溶存態リン, 溶存有機物, 厚真町 |
Key word | Surface erosion, Particulate phosphorus, Dissolved phosphorus, Dissolved organic matter, Atsuma |