第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 543
講演番号 PL-10(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 野外環境下でマツノザイセンチュウはその近縁種と雑種を形成するか?
Does Bursaphelenchus xylophilus hybridize with its relatives in nature?
所属 明治大学
要旨本文 マツ材線虫病の病原体Bursaphelenchus xylophilusは北米原産であるが、1905年に日本で初確認されて以来、国内でも生息域を拡大してきた。その近縁種であるB. mucronatusは日本在来種であり、これら2種間では雑種形成が可能であることが室内実験によって示されている。また、単一遺伝子マーカーを用いた先行研究により、中国では野外環境下で雑種が存在することが示唆されている。本研究では、日本国内の野外環境下において2種の雑種が存在するかを明らかにするために、Mig-seq法を用いたゲノムワイドなジェノタイピング解析を行った。長野県にて捕獲した17頭のマツノマダラカミキリから分離された170頭の線虫個体からそれぞれDNAを抽出し、Mig-seq解析に供した。その結果、1401個のSNPs(一塩基多型)が抽出され、4個体の線虫が雑種であることが明らかになった。次に、野外環境下で生じた雑種個体の動態を予測するために、実験室内にて2種間の雑種個体の作出を試み、その産卵数及び孵化率を調査した。その結果、異種間交配では、産卵数及び孵化率ともに有意に低下した。今回検出された雑種個体の割合は低かったが、親種との戻し交雑による遺伝子汚染が生じる可能性がある。
著者氏名 ○池田優月1 ・ 柳澤賢一2 ・ 石川直子3 ・ 陶山佳久3 ・ 新屋良治1
著者所属 1明治大学農学部 ・ 2長野県林業総合センター ・ 3東北大学大学院農学研究科
キーワード マツ材線虫病, ニセマツノザイセンチュウ, 系統進化, 種分化, ジェノタイピング
Key word pine wilt disease, Bursaphelenchus mucronatus, phylogeny and evolution, speciation, genotyping