第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 543
講演番号 PM-15(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 ヒノキ生立木の剥皮木部でみられた菌類相の経時的変化の特徴
Characteristics of chronological changes in the fungal composition observed in bark-stripped Chamaecyparis obtusa trees
所属 東京大学大学院
要旨本文 木材の腐朽は炭素循環に関わる大きな要素の一つであるが、生立木の幹に作られた傷における腐朽の進展過程や木部菌類相の遷移はほとんど明らかにされていない。そこで、東京大学秩父演習林において、クマによる剥皮後の年数が1~12年のヒノキ個体を伐倒し、腐朽の状態と菌類相の変化について調査した。 被害辺材、健全辺材および心材を高さごとに採取し、菌類組成を調査するためITS2領域に対するアンプリコンシーケンス解析を行った。1年後の被害辺材では内生菌由来と思われるAmylostereum属菌が優占するサンプルが多くみられたが、4年以上経過した被害辺材では健全辺材との非共通種が優占するサンプルが増加した。Bary-Curtis指数を用いた群集間の類似度をNMDS解析した結果、健全辺材や心材の菌類相は個体間で比較的類似していたが、被害辺材の類似度は個体間で大きく異なった。これらのことから、被害後1年程度は内生していた一部の菌が増殖し、その後、外部からランダムに侵入した菌に置き替わっていったと考えられた。また、同一個体内では、地際の被害辺材ほど健全辺材との類似度が小さくなる傾向がみられ、地面に近いほど多様な菌類が侵入することが示唆された。
著者氏名 ○戴健平1 ・ 楠本大3 ・ 原口竜成2 ・ 平尾聡秀1 ・ 山田利博2
著者所属 1東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林教育研究センター ・ 2東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林秩父演習林 ・ 3東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林
キーワード クマ剥ぎ, 針葉樹, 腐朽菌, 内生菌
Key word bear stripping, conifer, decay fungi, endophytes