第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 543
講演番号 PM-4(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 ヤクスギ林冠と地上土壌における菌根菌群集の比較
Mycorrhizal fungal communities of canopy and ground soils in large Cryptomeria japonica in Yakushima, Japan
所属 神戸大学
要旨本文 温帯の老齢林では、樹上にリターが堆積し林冠土壌ができ、多くの植物が根付いている。特に屋久島のヤクスギ老齢木の林冠土壌は地上と異なる物理化学特性を有するだけでなく、樹上植物の80%は地上で確認されなかった種であり、独自の生態系が広がっている。そこで本研究では、土壌環境に応じて植物の生育を支える菌根菌の群集構造をスギ林冠と地上土壌で比較した。屋久島小花山試験地に生育するスギ4個体を対象とし、林冠土壌は高さ13.2 m から30.2 mの範囲で、地上土壌は各樹冠下3地点で採取した。真菌全体(ITS)と、アーバスキュラー菌根菌に特異的(18s rRNA)なプライマーを用いてDNA解析を行い、各土壌に生息する菌根菌群集を明らかにした。その結果、林冠の菌根菌群集は地上と異なり、pHや栄養塩濃度などの土壌物理化学特性と相関関係があった。また、真菌全体における菌根菌の割合は林冠の方が地上より6%程度有意に高く、林冠土壌の中でも宿主木によって割合や群集構造が異なった。ヤクスギ林冠に特有の土壌物理化学特性に応じた菌根菌群集が成立し、林冠独自の植物相の発達に寄与している可能性が示唆されたため、今後両者の関係性を探っていきたい。
著者氏名 ○末吉功季1 ・ 龍見史恵2,3 ・ Jennifer M. Bhatnagar2 ・ 日置頌1 ・ 木田森丸1 ・ 太田民久5 ・ 石井弘明1 ・ 佐伯いく代4 ・ 東若菜1
著者所属 1神戸大学大学院農学研究科 ・ 2ボストン大学 ・ 3北海道大学大学院農学研究院 ・ 4筑波大学生命環境系 ・ 5富山大学学術研究部理学系
キーワード 菌根菌, 林冠, 生態系, 土壌
Key word Mycorrhizal fungi, canopy, diversity, soil