第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 543
講演番号 PM-8(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 異なる菌根形成段階におけるイチヤクソウ根圏細菌の群集構造と系統的多様性
Rhizosphere bacterial community structure and diversity differed by mycorrhizal formation levels in Pyrola japonica
所属 三重大学
要旨本文 林床に生育するイチヤクソウは"葉の光合成"と"根の菌根菌"の両方で炭素獲得する混合栄養植物である。本種の菌根に菌鞘はなく、根表皮細胞内に菌根菌の菌糸コイルが形成される。菌根形成は菌糸コイルの状態によって初期(菌糸が未侵入の細胞)、中期(菌糸が侵入し充満している細胞)、後期(菌糸が消化され暗色化した細胞)に大別される。本種に関連する根圏細菌群集の解明を目的とし、本研究では菌根形成段階に沿った根圏細菌群集構造の変化を調べた。三重県津市のコナラ林からイチヤクソウ8個体と周辺土壌を採取した。各菌根形成段階から最大3cmの根を切り取りDNA解析に用いた。その後、16SrRNAの部分領域のメタゲノム解析をおこなった。その結果、植物共生性のRhizobiales目、Actinomycetales目、Burkholderiales目が検出された。分類群組成は、周辺土壌と根圏では有意に異なったが、菌根形成段階間で有意差はなかった。α多様性とβ多様性は、菌根形成初期と周辺土壌で有意に高く、菌根形成中期で最も低くなった。以上より、イチヤクソウ根圏には植物共生性細菌が分布しており、菌根形成の発達に伴って細菌群集は漸進的に変化する可能性が示唆された。
著者氏名 ○榮航太朗 ・ 北上雄大 ・ 松田陽介
著者所属 三重大学大学院生物資源学研究科
キーワード 混合栄養植物, 菌従属栄養性, アーブトイド菌根, 植物成長促進細菌, ベニタケ科菌類
Key word Mixotrophic plants, Mycoheterotrophy, Arbutoid mycorrhiza, Plant growth-promoting bacteria, Russulaceae fungi