第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T1. 生物多様性保全と森林管理[Biodiversity conservation and forest management]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 543
講演番号 PT1-2(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 スギ・ヒノキ小面積皆伐施業地における下層植生の17年間の変化
Seventeen-year dynamics of understory vegetation in an uneven-aged conifer plantation formed by small-scale clearcutting
所属 宮崎大学
要旨本文 人工林内に異なる林齢の小面積パッチを配置する異齢林は、同齢人工林に比べて生物多様性の保全が期待できる。これまで演者らが、小面積皆伐による異齢林施業地の下層植生(2005年時点)を林齢間で比較した結果では、下層植生がOliver(1981)の二次林発達モデルに概ね沿って変化していること、パッチ配置によって発達段階の抑制と促進という林縁効果がある可能性が示されている。本研究では、前回と同じ異齢林で17年後の2022年に再調査を行い、前回調査から推測された下層植生の発達過程とこれに対応する林縁効果を実測データで検証することを目的とした。調査地をグリッドに分割し、各グリッド内の木本植物の種名と樹高を基に解析を行った。その結果、下層植生の変化では21年生までの間の幹の排除と、その後38年生までの間の幹の再侵入が確認された。一方、38年生パッチでの遷移後期種の個体増加量と高齢林マトリックスと隣接する林縁長の間には有意な関係はみられなかった。以上の結果から、遷移後期種の再侵入に対する周囲の高齢林マトリックスからの林縁効果は不明瞭であり、実際の母樹分布やシカ食害の程度が林縁効果の発揮に関与していると考えられた。
著者氏名 ○赤池友樹1 ・ 伊藤哲1 ・ 山川博美2 ・ 山岸極2 ・ 平田令子1
著者所属 1宮崎大学農学部 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所九州支所
キーワード 種子散布様式, 生活形, 階層構造, シカ食害, 林縁効果
Key word seed dispersal, life form, vertical stratification, deer browsing, edge effects