第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
T3. 森林の放射能研究[Research on radioactivity in contaminated forest]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 543 |
講演番号 | PT3-17 |
発表題目 | 福島県におけるスギ細根中Cs-137の経年変化と下方移行に対する転流の影響 Temporal changes in the Cs-137 in cedar roots and the downward migration by translocation |
所属 | 筑波大学 |
要旨本文 | 森林土壌中のCs-137下方移行メカニズムの1つとして、樹木細根による転流・枯死・脱離が挙げられる。本研究では、現地での樹木細根の培養実験によりCs-137転流量を推定し、下方移行への寄与の評価を試みた。福島県浪江町において、5本のスギを対象にCs-137をほとんど含まない市販の黒土(0.018 Bq/g)または現地土壌(186 Bq/g)を入れたタッパーでの培養を2022年4月から8月にかけて行い、培養期間後に新根(白根)のみ回収してCs-137濃度を測定した。培養後に回収した新根は黒土で約2.7 Bq/g、現地土壌で7.6 Bq/gと有意に黒土で低かった。しかしながら、培養に用いた土壌のCs-137濃度は約10000倍の差があるにも関わらず、新根には2.8倍の差しかなく、転流の影響が認められた。黒土で成長した新根中のCs-137が全て転流由来であると仮定し、細根のターンオーバーが1.2回/年(Finér et al., 2011)であるとして下方移行への寄与を評価した結果、40-45 cm深度の細根中Cs-137は約95%(1.5 Bq/m2)が転流由来であり、11年間に約23.8 Bq/m2のCs-137転流によって下方移行し、土壌中に放出されたと推計された。これは、2022年時点の土壌中のCs-137存在量の0.4%に相当する。 |
著者氏名 | ○高橋純子1 ・ 井口啓2 ・ 佐々木拓哉2 ・ 恩田裕一1 |
著者所属 | 1筑波大学放射線・アイソトープ地球システム研究センター ・ 2筑波大学生命環境学群 |
キーワード | 樹木細根, 転流, スギ植林, Cs-137深度分布 |
Key word | Fine tree roots, Translocation, Japanese cedar plantation, Vertical distribution of Cs-137 |