第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T5. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 542
講演番号 PT5-1(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 ボルネオ熱帯低地林におけるNP施肥に対する根滲出物速度の種特異的応答
Species-specific responses of root exudation to nitrogen and phosphorus fertilization in Bornean tropical rain forests
所属 東京農業大学
要旨本文  樹木は、多くの炭素を根系に分配し、細根から有機酸などを分泌している。この根滲出物は、微生物による有機物分解や難溶性リン(P)の可溶化を促進し、樹木の窒素(N)やPなどの利用可能性を高めている。しかし、激しい土壌風化によりP欠乏下にある熱帯林において、根滲出物の重要性やその樹種間差はほとんど検証されていない。そこで、マレーシア・サバ州の熱帯低地林の野外施肥試験地{4処理(対照・N・P・NP)}において、遷移段階や共生菌根菌タイプ{外生菌根(ECM)またはアーバスキュラ―菌根(AM)}が異なる7樹種の根滲出物速度と根の化学性(N・P濃度)を測定した。 P施肥により7樹種すべての根組織NP比が顕著に低下し、P欠乏緩和に伴い相対的なN要求性が増加している可能性がある。また、原生林において特に優占する極相・ECM種の根滲出物速度は、他種よりも高いものの、施肥による変化はなかった。ただしパイオニア種を含むAM種2種では、P施肥により根滲出物速度が増加した。熱帯林における根滲出物は、重要な栄養塩獲得戦略の1つとなっているものの、パイオニア種を含むAM種とECM種で異なるP施肥応答を示す可能性がある。
著者氏名 ○平野侑1 ・ 牧田直樹2 ・ 檜谷昂3 ・ 青柳亮太4 ・ 北山兼弘4 ・ 今井伸夫1
著者所属 1東京農業大学地域環境科学研究科 ・ 2信州大学理学部 ・ 3東京農業大学国際食料農業科学研究科 ・ 4京都大学農学研究科
キーワード 野外施肥実験, P制限, 根圏, 菌根菌タイプ, 遷移系列
Key word fertilization experiment, Phosphorus limitation, rhizosphere, mycorrhizal type, successional status