第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T5. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 542
講演番号 PT5-11
発表題目 ササ除去が森林土壌の窒素動態に及ぼす影響:複数サイトにおける観測から
Effect of understory Sasa removal on forest soil nitrogen dynamics: from observations at multiple sites
所属 北海道大学
要旨本文 ササ類の消失が森林土壌の窒素(N)動態に及ぼす中長期的な影響を解明するため、ササ地上部除去開始から時間が経過した森林において、土壌中の無機態N量と正味のN無機化速度を測定した。北海道北部の中川、天塩、東部の標茶、足寄にてミズナラを対象木とし、ササ除去区と非除去区(対照区)を設定した。中川ではクマイザサ、天塩ではチシマザサ、標茶と足寄ではミヤコザサがそれぞれ林床に密生していた。天塩では皆伐跡地のクマイザサ群落においても調査を行った。2022年と2023年の夏季に表層10㎝土壌を採取し、アンモニウム態・硝酸態窒素量 (NH4-N, NO3-N)と無機態N量(NH4-N + NO3-N)、正味のNH4-N・NO3-N生成速度およびそれらを合計したN無機化速度を定量した。ササ除去はNH4-N量を有意に減少させ、無機N量も減少させる傾向があった。一方、NO3-N量は一部サイトではササ除去区で有意に小さかったものの、全体では有意な影響を及ぼさなかった。正味のN無機化速度はササ除去により低下した。以上からササ消失は中長期的には土壌のN無機化を抑制し、無機N量を減少させることが明らかになった。
著者氏名 ○福澤加里部1 ・ 智和正明2 ・ 舘野隆之輔3 ・ 松山周平4 ・ 菱拓雄2 ・ 杉山賢子3 ・ 谷口武士5 ・ 野村睦1
著者所属 1北海道大学北方生物圏フィールド科学センター ・ 2九州大学農学部附属演習林 ・ 3京都大学フィールド科学教育研究センター ・ 4酪農学園大学農食環境学群 ・ 5鳥取大学乾燥地研究センター
キーワード 冷温帯林, アンモニウム態窒素, 硝酸態窒素, クマイザサ, ミヤコザサ
Key word cool-temperate forest, ammonium-N, nitrate-N, Sasa senanensis, Sasa nipponica