講演詳細

S1. 大規模ダケカンバ産地試験林調査から見えてきた樹木の環境適応[Adaptation of trees to local environments revealed from a large-scale provenance trial of Betula ermanii]

日付	2024年3月8日
開始時刻	14:15
会場名	342
講演番号	S1-2
発表題目	５つの産地試験林を用いたダケカンバの光合成特性の種内変異の評価 Intra-species variations in leaf photosynthetic properties in Betula ermanii using five provenance-test plantations
所属	静岡大学
要旨本文	ダケカンバのように広域に分布する樹木では、局所環境に適応した結果として、成長や光合成特性が集団間で異なる場合がある。産地比較試験はそうした集団間変異の検証に有効な手法だが、ある特定の環境で行われることが多く、環境可塑性の集団間変異を調べた事例は少ない。可塑性の集団間変異の理解は、急速な気象変動下において、樹木の将来分布の予測や生育適地の評価を行う上で重要である。そこで、全国11ヶ所×11集団のダケカンバ産地試験林より、気象条件の異なる試験林５ヶ所×5集団について、葉の生理生態的形質の集団間変異と環境可塑性（試験林による違い）を評価した。葉形質として形態、気孔密度、窒素量、クロロフィル量を調べた。生理特性については、PAM法による電子伝達速度とポロメーター法による気孔コンダクタンスに注目し、その最大能力だけでなく光と温度応答特性も調べた。可塑性はほとんどの形質で検出されたが、明確な集団間変異は葉面積やクロロフィル濃度、窒素濃度など、一部の形態的、生化学的形質で見られた。可塑性の集団間変異は全ての形質で小さく、葉形質は集団に関わらず似た気象応答を示す可能性がある。
著者氏名	○飯尾淳弘1 ・ 中田修人2 ・ 早川朋花1 ・ 相原隆貴3 ・ 吉田俊也4 ・ 戸丸信弘5 ・ 小林元6 ・ 後藤晋7 ・ 津村義彦8
著者所属	1静岡大学農学部 ・ 2静岡大学大学院総合科学技術研究科 ・ 3筑波大学大学院生命環境科学研究科 ・ 4北海道大学北方生物圏フィールド科学センター ・ 5名古屋大学大学院生命農学研究科 ・ 6信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター ・ 7東京大学大学院農学生命科学研究科 ・ 8筑波大学生命環境系
キーワード	ダケカンバ, 産地変異, 光合成特性
Key word	Betula ermanii, Provenance variability, Photosynthetic properties