第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S1. 大規模ダケカンバ産地試験林調査から見えてきた樹木の環境適応[Adaptation of trees to local environments revealed from a large-scale provenance trial of Betula ermanii]

日付 2024年3月8日
開始時刻 14:15
会場名 342
講演番号 S1-5
発表題目 ダケカンバの植栽環境と産地の違いよる遺伝子発現
Transcriptome differentiation in Betula ermanii in different planting environments and their origins
所属 筑波大学
要旨本文 現在温暖化が進んでおり、樹木の成長などにも様々な影響を与えると予測される。特に、成長期間に直結する開葉期について、多くの樹種で開葉の早期化や休眠不良により開葉の遅延が確認されている。本研究では、異なる気象条件にある2箇所のダケカンバ産地試験林(つくば、名寄) にて、6産地由来の苗木の開葉動態及び遺伝子発現を調べた。冬芽~開葉まで開葉観察を週に2-3回実施した。またRNA分析用サンプリングを週に1回 (計220サンプル) 行い、RNA-seqを用いた遺伝子発現解析を行った。遺伝子発現解析の結果、開葉段階間で共発現がみられる6497の遺伝子が明らかになった。両試験地ともに開葉が進むと光合成関連遺伝子の発現が上昇し、休眠関連遺伝子の発現が減少していた。また、開葉段階ごとに試験地間、産地間の発現変動遺伝子を明らかにし、GOエンリッチメント解析を行った。その結果、試験地間の発現変動遺伝子の約9割が開葉段階初期に見られた。それらは非生物学的因子に関連する遺伝子群であり、光に関する遺伝子群の有意性が最も高かった。また産地間では発現変動は小さいが、光合成能力に関する遺伝的な違いが影響している可能性が示唆された。
著者氏名 ○津村義彦1 ・ 荒木響子2 ・ 相原隆貴3 ・ 蔡一涵4 ・ 伊原徳子5 ・ 内山憲太郎5
著者所属 1筑波大学生命環境系 ・ 2筑波大学大学院システム情報工学研究科 ・ 3筑波大学大学院生命環境科学研究科 ・ 4北海道大学大学院環境科学院 ・ 5国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域
キーワード ダケカンバ, 遺伝子発現, 産地試験, 種子産地
Key word Betula ernamii, gene expression, common garden, seed origin