第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S11. 生理部門企画シンポジウム「スギを語る」とポスター紹介[Tree Physiology Division Symposium: Talking about Japanese cedar, and poster introduction]
日付 | 2024年3月8日 |
---|---|
開始時刻 | 9:00 |
会場名 | 341 |
講演番号 | S11-3 |
発表題目 | 遺伝子発現から探るスギの高温順化メカニズム Exploring the mechanism of heat acclimation in Cryptomeria japonica through gene expression analysis. |
所属 | 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 |
要旨本文 | 植物には高温ストレスを経験することにより高温耐性が増す「高温順化」の現象がある。高温順化はスギなど針葉樹でもみられるが、分子メカニズムには未解明の部分が残されている。人工光下(100μmol・m-2・s-1)のスギ実生を用いた実験では、高温順化処理の温度に応じてその後の45℃処理でのFv/Fm値の低下と回復の程度に違いがあった。最も順化の効果が大きかった38℃で処理した個体、未処理個体の45℃処理下のトランスクリプトーム解析を行ったところ、熱ショック転写因子やレトロトランスポゾン様配列の発現が順化処理により変化していた。一方、自然光下では38℃処理でも人工光下と比較してFv/Fm値が著しく低下するが、36℃の順化処理で低下の程度は小さくなり回復が早まった。スギゲノム参照配列を利用してトランスクリプトーム解析を行ったところ、人工光下での結果と違いが見られ、順化処理は38℃処理下のジャスモン酸生合成経路関連遺伝子の発現に影響していた。また、遺伝子ネットワーク解析ではFv/Fm値と光化学系II活性中心タンパク質の遺伝子発現に相関が検出され、これらの遺伝子は気温に対し転写レベルでの制御を受けていると考えられた。 |
著者氏名 | ○伊原徳子 |
著者所属 | 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域 |
キーワード | スギ, 高温順化, トランスクリプトーム, ゲノム |
Key word | Cryptomeria japonica, heat acclimation, transcriptome, genome |