第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S13. 変動環境下における大気‐森林間の物質交換と樹木の生理生態[Atmosphere-forest material exchange and tree physiological ecology under changing environment]

日付 2024年3月8日
開始時刻 14:15
会場名 332
講演番号 S13-3
発表題目 異なる土壌に生育したヤマナラシ属2種の虫害発生とオゾンの影響
Effects of elevated ozone on 2 species of poplar grown in two soil types
所属 北海道大学
要旨本文 オゾンは強力な酸化物質で光合成を抑制する。地表付近オゾン(=光化学スモッグ)の前駆物質である二酸化窒素(NO2)の排出量は欧米では1990年代から漸減しているが、東アジアではやや減少傾向にあるが、それでも欧米の4倍量あってオゾンによる森林衰退が生じている(Kitao et al. 2016; Sci Rep)。しかも、タイトレーション効果によって郊外での影響が高い。エネルギー・繊維資源としてのポプラ類(ドロノキと雑種=ギンドロ×欧州ヤマナラシ)では、通常大気(対照)区(約35 ppb)に比べ、オゾン区(約80 ppb)では、光合成生産が抑制され成長が抑制されるだけではなく、被食防衛物質量が低下し、病虫害に遭いやすくなると予想した。しかし、ポプラ類の地上部を毎年収穫すると、萌芽枝のバイオマス生産量は雑種では対照区とオゾン区では大差なく、ドロノキでは減少し、3年目には虫害による枯死が増加した。オゾン区ではドロノキハムシの食害が少なく、香気シグナルを妨げる環境攪乱物質としてのオゾンの影響が示唆された。
著者氏名 ○小池孝良1 ・ 増井昇1,2 ・ 渡邊陽子1 ・ 渡部敏裕1
著者所属 1北海道大学大学院農学研究院 ・ 2静岡県立大学薬食生命科学総合学府
キーワード オゾン, ポプラ, 開放系施設, ドロノキハムシ, バイオマス
Key word ozone, poplar, free-air exposure, leaf beetle, biomass production