第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S13. 変動環境下における大気‐森林間の物質交換と樹木の生理生態[Atmosphere-forest material exchange and tree physiological ecology under changing environment]
日付 | 2024年3月8日 |
---|---|
開始時刻 | 14:15 |
会場名 | 332 |
講演番号 | S13-4 |
発表題目 | 常緑広葉樹葉が展葉期に示す分光特性変化の適応的な解釈 Changes in spectral characteristics of evergreen broad-leaved trees during leaf development |
所属 | 九州大学 |
要旨本文 | 直達日射下の樹木の光合成では、過剰な光エネルギーによって光合成システムが破壊されないように処理されているともみなせる。強光によって光合成には過剰な電子的励起エネルギーが光化学系で発生すると、キサントフィルサイクルや光呼吸などによって安全に熱に変換される仕組みがある。一方、入射放射の利用調節には1)表面の反射率を変化させる、2)表皮層や液胞に色素を蓄積して入射光を吸収する、3)光化学系のクロロフィル割合を減らして葉の光透過率を高める、もしくは色素系・酵素系による励起エネルギ処理効率を高める等の手段が考えられる。九州北部の常緑広葉樹の多くは4月中旬から展葉が始まり、5月から7月にかけて完了する。この展葉時期は直達日射がもっとも強くなる時期でもあり、未発達な葉による入射日射の利用調節は非常に重要となる。展葉初期の葉の表面には毛(トライコーム)が密生していることが多く、葉の内部にはカロテノイドやアントシアニン系の色素が蓄積するため、赤黄緑色系の金属光沢を持った色彩を示すものが多い。そこで、本発表では、1)に関わるトライコームの光学的な効果に着目し、展葉期にトライコームを保持することの意義を議論する。 |
著者氏名 | ○久米篤1 ・ Chen, Zhaoji2 ・ Li, Nan2 ・ 阪上宏樹1 ・ 松田修3 |
著者所属 | 1九州大学大学院農学研究院 ・ 2九州大学大学院生物資源環境科学府 ・ 3九州大学大学院理学研究院 |
キーワード | 常緑広葉樹, 分光特性, トライコーム, 光防御, 色素 |
Key word | Broad-leaved tree, spectral characteristics, trichome, photoprotection, pigment |