第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S13. 変動環境下における大気‐森林間の物質交換と樹木の生理生態[Atmosphere-forest material exchange and tree physiological ecology under changing environment]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | 14:15 |
会場名 | 332 |
講演番号 | S13-5 |
発表題目 | 変動する大気環境に対する日本海側の森林集水域の応答 Responses of a forested catchment along the Sea of Japan coast under changing atmospheric environment |
所属 | アジア大気汚染研究センター |
要旨本文 | 日本海側沿岸は、冬季北西季節風により、大陸からの越境大気汚染の影響を受けてきた。新潟県新発田市に設定した加治川集水域試験地において、大気沈着(林外雨、林内雨・樹幹流)と渓流水の2002年からの長期モニタリングデータに基づき、検討を行った。また、2012年からは、同位体比分析を、硫黄(δ34S)、水の水素や酸素(δ2H, δ18O)などに順次適応し、さらに詳細なメカニズムの議論を行った。地域の大気汚染物質の排出量トレンドを反映して、SO42-の大気沈着量は低下傾向が明確であり、特に寒候期の低下が顕著であった。近年の同位体比分析からは、越境大気汚染だけでなく国内汚染の低下の寄与が示唆された。SO42-の大気からの流入は冬季に著しく増大したが、渓流水の濃度や硫黄同位体比は年間を通じて安定していた(Saito et al. 2023, JFR)。一方、水の同位体比からは、冬季降水への日本海由来の水蒸気の強い影響が確認されるとともに、近年の夏季降水の起源が変化している可能性が示唆された。本研究は、EANETプロジェクトファンド(2023-01)と科研費(JP22H02401)の支援を得た。 |
著者氏名 | ○佐瀨裕之1 ・ 齋藤辰善2 ・ 四柳宏基1 ・ 諸橋将雪1 ・ 山下尚之3 ・ 藪崎志穂4 ・ 陀安一郎4 ・ 猪股弥生5 |
著者所属 | 1アジア大気汚染研究センター ・ 2新潟大学大学院自然科学研究科 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所立地環境研究領域 ・ 4総合地球環境学研究所 ・ 5金沢大学 |
キーワード | 越境大気汚染, 硫黄, 窒素, 降水パターン, 同位体比 |
Key word | transboundary air pollution, sulfur, nitrogen, precipitation pattern, isotopic ratio |