第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S5. 福島第一原子力発電所事故の生物影響―何が起こり、何が起こらなかったのか―[Biological effects of the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant Accident – What happened and what Did Not]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | 9:00 |
会場名 | 343 |
講演番号 | S5-4 |
発表題目 | 低線量率放射線による突然変異リスクの迅速評価法の開発 Development of a rapid assessment method for mutation risk due to low dose rate radiation exposure |
所属 | 森林総合研究所 |
要旨本文 | 東京電力福島第一原子力発電所の事故後、低線量・低線量率の放射線が生物へ与える影響に関心が高まった。本研究では、空間線量率が0.08から6.86[μGy h−1]の場所に生育するサクラ(「染井吉野」)とスギの次世代に生じる新規突然変異を分析し、次世代における遺伝的影響の評価を試みた。これらの樹種は、帰還困難区域内外で広く植栽され、広範囲での調査が可能であった。サクラでは人工交配を行い種子もしくは実生を次世代として使用し、スギでは開放受粉の種子から雌性大配偶体を取り出して次世代として使用した。雌性大配偶体の活用は人工交配の手間がなく作業に伴う放射線被ばくの減少やデータ分析の簡易化などの利点があった。サクラから68サンプル、スギから146サンプルに対してRAD-Seq法により配列データを収集し母樹の配列と比較して新規突然変異候補を特定した。その結果サクラから全体でわずか2個の新規突然変異候補が特定された一方、スギでは206個(平均1.4個)の新規突然変異候補を次世代で同定した。これらの突然変異と空間線量率や枝の放射性セシウム濃度との間の相関はなく、その検出頻度は母樹の系統や生育環境によって異なる可能性が示唆された。 |
著者氏名 | ○上野真義1 ・ 長谷川陽一1 ・ 加藤珠理2 ・ 森英樹1 ・ 塚田祥文3 ・ 大平創4 ・ 兼子伸吾4 |
著者所属 | 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所多摩森林科学園 ・ 3福島大学環境放射能研究所 ・ 4福島大学共生システム理工学類 |
キーワード | スギ, サクラ, 新規突然変異 |
Key word | Japanese cedar, Japanese flowering cherry, de novo mutation |