第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
T1. 生物多様性保全と森林管理[Biodiversity conservation and forest management]
日付 | 2024年3月8日 |
---|---|
開始時刻 | 14:45 |
会場名 | 432 |
講演番号 | T1-2 |
発表題目 | 人工林の管理は様々な気候・季節で遷移初期性・森林性鳥類の回復に役立つ Plantation management can restore early successional and forest birds under various climatic and seasonal conditions |
所属 | 森林総合研究所 |
要旨本文 | 草原や広葉樹天然林から転換されてきた人工林では、遷移初期環境を好む種と広葉樹林を好む種の保全が重要である。本研究では、鳥類の遷移初期種・広葉樹林性種に対する人工林の林齢と混交広葉樹割合(混交率)の影響を明らかにし、天然林と比較した。また、これらの影響が地域や季節の気候に依存するかを検証した。 その結果、遷移初期種の種数・個体数は、人工林では林齢の増加にともない指数関数的に減少したが、天然林では常に低かった。広葉樹林性種では季節によらず、種数・個体数が林齢と混交率の増加に対して上に凸の増加パターンを示した。混交率25%の成熟人工林における個体数は、同齢の天然林に匹敵し、繁殖期には老齢天然林の約6割に及んだ。越冬期には、低温な地域ほど林齢の正の影響が弱く、広葉樹割合の正の影響が強くなった。 これらの結果は、定期的な人工林の主伐が広域的な遷移初期種の回復に重要な役割を果たしうること、人工林内の広葉樹を少量でも確保する管理(保持林業、強度間伐)が広葉樹林性種を回復させる効果的な方法であることを示している。様々な地域・季節において、人工林内での保全活動が生物多様性の回復に大きく貢献するだろう。 |
著者氏名 | ○河村和洋1,2 ・ 山浦悠一3 ・ 中村太士4 |
著者所属 | 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所野生動物研究領域 ・ 2北海道大学大学院農学院 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所四国支所 ・ 4北海道大学大学院農学研究院 |
キーワード | 広葉樹, 林齢, 伐期, 保持林業, 攪乱依存種 |
Key word | Broad-leaved tree, Stand age, Rotation cycle, Retention forestry, Disturbance-dependent species |