第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T5. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]

日付 2024年3月8日
開始時刻 15:30
会場名 341
講演番号 T5-5
発表題目 冷温帯9樹種における細根・葉・土壌に含まれる一次代謝産物の樹種間差
Interspecific differences in primary metabolites in fine roots, leaves and soils of nine cool-temperate tree species
所属 信州大学大学院
要旨本文 樹木は根で生育に必要な栄養素を土壌から獲得し,葉でエネルギーを作り出すために利用する.この生存に不可欠な代謝に関わるのは主にアミノ酸,有機酸,糖であり,それぞれ窒素やリンなどの栄養獲得に役立つ.したがってこれらの一次代謝産物を根,葉,土壌で調べることは樹木の栄養獲得能力の解明に繋がる.本研究では分析対象を細根(直径≦ 2 mm),葉,根圏土壌とし,アミノ酸,有機酸,糖の含有量を調べた.対象樹種は,共生菌タイプの異なる針葉樹4種,広葉樹5種の計9樹種を選択した.サンプルは水抽出を行い,分析は LC-MS で行った.結果,細根,葉の含有成分全てで樹種間差がみられ,根圏土壌では含有糖のみで樹種間差が見られた.細根では,針葉樹はアミノ酸,広葉樹は糖の割合が高い傾向があり,針葉樹は根に窒素を貯蔵しやすく,広葉樹は微生物を介した栄養獲得に積極的な細根を持つことが推察された.葉では,広葉樹で針葉樹よりも一次代謝産物総量が多い傾向があり,広葉樹の方が光合成を活発に行うと考えられた.根圏土壌では含有成分総量が細根や葉に比べて極端に少ないことが分かった.発表では,これらの結果を統合させた各樹木の栄養獲得戦略を展開する.
著者氏名 ○勝間帆波 ・ 暁麻衣子 ・ 高梨功次郎 ・ 高橋史樹 ・ 牧田直樹
著者所属 信州大学大学院総合理工学研究科
キーワード アミノ酸, 有機酸, 糖, 根滲出物, LCMS
Key word Amino acids, Organic acids, Sugars, Root exudates, LCMS