第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

風致・観光部門[Landscape Management and Tourism]

日付 2023年3月27日
開始時刻 15:15
会場名 Room 2
講演番号 B18
発表題目 国立公園における半自然草原の減少と文化的価値の発見
Disappearance of Semi-Natural Grasslands and their Discovery of Cultural Values in Japan's National Parks
要旨本文 国立公園における半自然草原に対する文化的価値の認識の変化を探るため、箱根仙石原草原の事例分析、および他地域を対象とした文献調査を行った。昭和11年の国立公園指定当初から、仙石原草原は眺望性という点からの文化的価値が認識されていた。しかし、草原は保全すべき対象とはみなされず、昭和30〜40年代にはゴルフ場の開設や植林が行われ、草原面積は減少していった。昭和45年には仙石原草原での山焼きが中止され、全国各地でも草原の利用放棄が進み面積の減少が進んでいった。昭和50年には仙石原草原のススキ景観を保護するために、特別保護地区に指定された。昭和63年には仙石原の草原景観を維持するため山焼きが再開されたほか、同年には三瓶山で放牧が再開された。平成29年には阿蘇が重要文化的景観に選定され、草原保全の取り組みが全国各地で進められるようになった。以上のことから、国立公園の半自然草原は成立当初から眺望性の面での価値が認識されていたものの、近年まで積極的な保全対象とはされず、面積は減少の途を辿っていった。今後は、草原が持つ文化的価値に対する社会的ニーズを踏まえた、包括的な保全対策が求められると結論づけられた。
著者氏名 ○八巻一成
著者所属 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所森林管理研究領域
キーワード 半自然草原, 文化的価値, 文化的サービス, 国立公園, 仙石原、箱根
Key word semi-Natural grassland, cultural values, cultural services, national park, Sengokubara, Hakone